こんにちは。
行政書士事務所はなだより
代表行政書士の東尚輝です。
『もうすでに遺言書を作成してしまったのですが
一度書いたら、もう書き直しや取消し(撤回)はできないんでしょうか?』
今回はこのようなご質問に分かりやすくお答えしていきます。
☆遺言の撤回及び取消しはいつでもできます
先に結論からいうと、もちろん遺言の撤回及び取消はできます。
また遺言書の書き換えは何度でもできます。
理由は以下の通り民法(1022条)で定められています。
(遺言の撤回)
民法 第千二十二条
第千二十二条 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。
☆遺言のすべてを撤回、取り消しをするには?
具体的には以下の方法があります。
・新たな遺言書を作り、前の遺言を撤回する⇒遺言の全部を撤回する
遺言書は新しい方、つまり日付があとのものが有効になります。
これは遺言の種類によらず共通となります。
このようなことがあるため、遺言書の作成日付はとても大切な情報になります。
・遺言を破棄する⇒自筆証書遺言(自筆証書遺言保管制度を利用した場合は除く)の場合に該当
※自筆証書遺言保管制度について詳しくお知りになりたい方はコチラ
遺言を作った人が何か思うところがあって、せっかく作った遺言書を捨ててしまう(破棄する)
ということも考えられます。
その時には遺言を【撤回】したと解釈されます。
ちなみに遺言書を預かっていた人が遺言書を勝手に捨ててしまうとその人は相続権を失います。
公正証書遺言の場合は、公証役場に出向き破棄の手続きが必要になります。
☆遺言者は遺言書に書いてある財産でも自由に処分ができる
遺言は遺言者の生存中はいかなる義務も権利も発生しません。
例えば、遺言書にA銀行の全預金を長男に相続させる、と書いてあってもその預金から全て引き出し
使うこともできます。
そのことで、遺言書の内容とは違うことになっても無効となるわけではありません。
また書き直したり、新しく遺言書を作る必要もありません。
残された遺言書が有効でそこに書いてある財産が無い場合には、その部分は遺言が【撤回】された
と解釈されます。これは財産を廃棄した場合でも同様です。
遺言書を作ってからかなり時間がたってから相続が発生した場合には、遺産の状況が遺言書と
かなり違うケースも考えられます。それでも遺言書は有効ですが、遺されるご家族の今後のこと
を考えると、新しい遺言書を作り直すのがお勧めです。
まとめ
遺言というものは1回やって終わりということでは必ずしもなく
遺言者様の事情やご都合に合わせていつでも撤回や変更ができます。
これらを踏まえ、定期的に棚卸し修正していけるもの、という前提で
遺産対策頂けましたら幸いです。