こんにちは。
行政書士事務所はなだより
代表行政書士の東尚輝です。
相続人には最低限の財産は相続できる権利【遺留分(いりゅうぶん)】
というものがあります。
今回は遺言書を書くときに注意しておきたいこの遺留分について
分かりやすく解説いたします。
☆遺留分は何のためにあるのか?
遺留分というのは一言でいうと【遺された家族が生活に困らないようにする
ために最低限の金額は必ず相続できる】といった権利の事です。
これにより相続開始後に財産を受け取った人に対して、遺留分の侵害部分に
ついて侵害額の支払い請求ができます。
ただし、遺留分はあくまで権利なので、それを使うかどうかは相続人次第になります。
☆遺留分はどれくらい認められているのか?
まずはじめに遺留分は一部例外を除き【法定相続分の半分】と覚えておきましょう。
具体的には以下の通りです。
・配偶者の遺留分→配偶者自身の法定相続分の1/2
・子の遺留分→子自身の法定相続分の1/2
・親の遺留分→親自身の法定相続分の1/2
(※親だけが相続人のときは1/3)
・兄弟姉妹の遺留分→なし
遺留分は侵害されていると知った日から1年間行使しないと、時効によって
消滅すると定められています。
※被相続人が亡くなった日が起算点とはなりません
ちなみに上記の知った日とは、何をもって知った日とみなすかという疑問がある
方も多くいらっしゃいます。
こちらについては基本的に侵害された方の自己申告によって調べていくという流れで
この日という明確な指標が決められているわけではありません。
こういった背景もあるので、遺留分を取り返したいという場合は
被相続人が亡くなった日から1年以内に請求することが確実な方法です。
☆遺留分を侵害する内容の遺言書は作れるか?
遺留分を侵害する内容の遺言書も作ることはできます。
ただし、公正証書遺言で作る場合、公証人から遺留分に関するアナウンスが
あるかもしれません。
☆遺留分の清算は金銭で行うことになりました
民法の改正(2019年7月1日施行)により、遺留分を侵害された人は遺贈や贈与を
受けた人に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求ができるようになりました。
また上記の場合、遺贈や贈与を受けた人が金銭を直ちに準備ができないときには
裁判所に対し、支払期限に猶予を求めることができます。
(遺留分侵害額の請求)
民法1046条
第千四十六条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。
以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
本内容がお役立て頂けましたら幸いです。