こんにちは。
行政書士事務所はなだより
代表行政書士の東尚輝です。
遺言書を書くためには、法律により【遺言能力】が必要とされており
遺言能力のない人が作成した遺言書は無効とされています。
今回は認知症の方が遺言書を書くときの注意点について
分かりやすく説明します。
☆遺言能力とは何か?
遺言能力とは遺言書を書く本人が遺言書の内容を理解し、その結果
自分の死後どのようなことになるのか理解することができる能力のことです。
遺言能力の基準は以下の通りです。
・遺言内容を理解できる能力
・遺言するという判断ができること
また上記はケースバイケースで異なり、諸事情により総合的に判断され
明確な基準はありません。
もし仮に、遺言の内容が『おかしいな』とか、『これは納得できない』と思う場合には
【遺言無効確認訴訟】を起こして、遺言書が無効かどうか解決します。
☆認知症と診断される=遺言能力があるともないとも一概に判断できない
遺言能力に明確な判断基準がないため、認知症の程度と遺言書の内容により
遺言能力の有無が判断されることになります。
例えば、重度の認知症であった方が遺言書を残していたとします。
この場合、仮に相続人がこの遺言書が有効だと言っても無効となる可能性が高いです。
ただし、あらためて相続人全員で遺産分割協議(話し合い)をすることで、遺言書通りの
内容で財産を分けることは可能です。
☆遺言能力に不安がある場合の対策について
以下のような点を気をつけると良いでしょう。
・シンプルな遺言書にする
例えば、自宅や預貯金などを対象にして、相続人に相続させるといった簡単な内容
であればご自身が書いたものとして推測されやすいです。
反対に、自社株式や、相続人以外に遺産を遺すといった内容が複雑になってくる遺言書では
遺言能力を疑われる可能性(誰かに書かされた疑い)が上がりますので避けたほうが無難といえます。
・公正証書で作成する
公正証書は公証人と証人2人の立会いの元作成します。
このことがある程度遺言能力があることの担保になります。
・遺言書作成後に医師の診断書をもらう
医師の診察を受け、認知症の程度の証明をとっておくことで
安心材料になります。
まとめ
このように遺言者が認知症になっていた場合、様々な角度から遺言書が有効なのかどうか
またご本人の意思に基づいているのかどうかを判断していくことになります。
つまり認知症であっても遺言書を作ることはできますが、その後の判断材料については非常に
複雑で難しい問題があります。
したがってこのような問題に直面されている方、これから起こりそうな方はお近くの専門家に
ご相談されることをお勧めいたします
本内容がお役立て頂けましたら幸いです。