こんにちは。
行政書士事務所はなだより
代表行政書士の東尚輝です。
最近は終活(しゅうかつ)という言葉を耳にする機会も増えてきました。
そういった終活の一つとして文章を残す必要性も高まってきているようにも思えます。
具体的には【遺言書】【エンディングノート】などと呼ばれていますね。
『はたしてどちらの文章を残したらよいのか?』と迷われる方もいらっしゃると思います。
そこで今回は【遺言書】と【エンディングノート】の違いを分かりやすく
解説していきます。
☆遺言書には法的効力あり、エンディングノートには法的効力なし
大きな違いは以下の通りです。
【遺言書】
万一の時、財産の行き先などを指定しておく法律文書
・書く目的→円満な相続の実現
・法的効力あり
・強制力あり
・法律で決められた形式で書く必要あり
遺言書の場合、法的効果がある反面、書ける内容は基本的に財産の分け方
がメインになります。
【エンディングノート】
万一の時、家族に伝えておくべき情報を記載したメモ帳
・書く目的→家族の負担軽減
・法的効力なし
・強制力なし
・自由に書ける
エンディングノートの場合、法的効力はありませんが、内容に縛られず自由(これまでの人生、
認知症・介護、葬儀・お墓、ペットの世話など)に書くことができます。
またエンディングノートに、財産分割の希望を書いていたとしても
本人の意思を伝えることはできますが、その通りに実行する義務はありません。
あくまでお願いするだけに留まります。
ただし、親族はその意思を汲んで財産を分けることは可能です。
☆遺言書とエンディングノート、優先順位はどうなるか?
以下のようなケースを考えてみます。
Aさんが令和6年6月12日に亡くなられた後、以下2点が発見されました。
・遺言書(日付:令和5年5月12日)
・エンディングノート(日付:令和6年5月12日)
この場合、どう扱っていくべきでしょうか?
結論から言いますと、遺言書の内容が優先されます。
例えば、エンディングノートには法的効力はないため、仮に
遺言書の後に作成されたとしても効果が有効になるわけではありません。
とはいっても、上記のエンディングノートはAさんの死期の最も近いあいだに書かれたものと
いえます。そういった意味で遺言書の内容よりも、本人の意向が強く反映されていることに
変わりありません。
これらをふまえ、遺産分割協議(相続人全員での話し合い)によって、エンディングノート
の内容に近い財産の分け方をすることはできます。
まとめ
遺言書もエンディングノートも、自分の財産を渡す意思表示をする書類という意味では同じです。
ただし、法的効力という意味では大きく違ってきますのでそれぞれの役割に応じた使い分けをする
ことが大切です。
例えば、希望の遺産分割について明確な場合はエンディングノートではなく、遺言書にしっかりと書くべきといえます。
特に遺言書は法的効力を持ちますから、些細なことでも専門家に確認されることをお勧めいたします。
本内容がお役立て頂けましたら幸いです。