相続における限定承認とは?

相続

こんにちは。

行政書士事務所はなだより
代表行政書士の東尚輝です。

相続と聞くと一般的には財産を受け取るというプラスのイメージが
あるかと思います。

しかし法律上は財産だけではなく、亡くなった方の債務も受け継ぐことになります。

相続は被相続人が亡くなったあと、何もしないまま一定期間が過ぎると自動的に
全ての財産と債務を受け継ぐことを承認したことになってしまいます。

それを止めるための手続きが【限定承認】です。

そこで今回は【相続における限定承認】について分かりやすく解説します。

☆限定承認とは何か?

限定承認とは、借金などマイナスの財産をプラスの財産の範囲内でしか受け継がなくてよい、
としてくれる手続き
の事です。

限定承認の手続きを行うには相続開始を知った時から3カ月以内に
故人の最終住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要があります。

また、限定承認の手続きは、相続人全員で行わなければなりません。
もし1人でも手続きに協力してくれない相続人がいた場合、手続きができないということになります。

限定承認の手続きができない場合にマイナスの財産を負わないようにするためには、
個人で相続放棄という手続きを行うしかありません。

ただし、相続放棄を行うとすべての財産を相続する権利を失ってしまいます。

もしあとから別の財産が発見され、プラスの財産が借金を上回ると損をしてしまうため
注意が必要になります。

☆なぜ限定承認はあまり利用されていないのか?

一見デメリットはあまりなさそうな限定承認ですが、利用件数は年間700~1000件程度といわれています。
相続放棄が年間約21万件と言われていますのでいかに少ないかが分かると思います。

理由として以下のデメリットが挙げられます。

・相続人全員の同意が必要

・限定承認前に遺産に手をつけられない
※もし使ってしまった場合、単純承認(通常の相続)となります

・借金返済のため、遺産が競売にかけられる

・不動産にみなし譲渡所得課税が課される

上記により、限定承認では手続きの手間暇も相当かかり、余計な住民税と所得税を払わないといけない、という可能性があることから実行するケースは非常に稀となっています。

☆限定承認によるメリットのあるケース

以下のようなケースの場合、限定承認によるメリットがあります。

Aさんが亡くなり、相続財産に借金1,000万と自宅があったとします。

この場合、自宅を相続するためには借金1,000万も相続する必要があります。

もし限定承認をした場合、自宅を競売(裁判所が主催するオークションのようなもの)にかけて現金化する流れになります。

この時に鑑定人選任の申立てによって自宅を鑑定してもらうことができます。
ここで鑑定額以上の金額で相続人が自宅の買取をしたとします。

この場合の自宅の鑑定評価額が1,000万以下の場合、単純承認(通常の相続)するよりも
負担が少なくて済みます。

このように特定の財産だけ取得したいという場合は、限定承認をして、その評価額分のお金で買う
というようなことができれば部分的に財産を取得することも事実上可能
になります。

限定承認について検討される方は少ないかもしれませんが、最も最良な選択をするためにも
迷われることがあったら一度専門家に相談してみることをお勧めいたします。

本内容がお役立て頂けましたら幸いです。

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