こんにちは。
行政書士事務所はなだより
代表行政書士の東尚輝です。
『遺言書は【公正証書遺言】で作成した方が安心と聞いたのですが、
証人が2人必要だとも聞きました。
私には信頼できる兄がいるのですが兄に保証人を頼むことはできますか?』
今回はこのような質問に分かりやすくお答えしていきます。
まず冒頭でありましたように、公正証書遺言を作成するには公証人のほか
証人2名立会いのもと、作成しなくてはならないという決まりがあります。
この場合に皆様が悩まれるのが【誰に証人を頼むか?】ということです。
証人は結果として遺言書の内容を全て知ることになります。
そのため、遺言者にとって後に起こりうるかもしれないトラブルも想定して
保証人を決めた方がベターといえます。
また、証人になれない人(欠格者)は法律で定められているため具体的に見ていきましょう。
①未成年者は証人になれない
未成年者は証人になれません。
言い換えると18歳以上であれば証人になれます。
(※法改正により、2022年4月1日から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました)
②推定相続人は証人になれない
推定相続人は証人になれません。
推定相続人というのはある人(今回の場合は遺言者)が亡くなった場合にその相続人になると思われる人のことです。
例えば現在、遺言者の母親と子供が存命であれば、母親と子供が推定相続人となります。
「推定」という言葉がつくのは、まだ上記の人が亡くなっていないため、将来亡くなった場合に
相続人となることが「推定」されるからです。
③受遺者は証人になれない
受遺者は証人になれません。
受遺者というのは、遺贈によって、財産を受け取る人のことです。
つまり遺贈する人が遺言者であり、遺言者から財産を受け取るのが受遺者です。
受遺者が証人で関わると公平さを欠くことになりかねないという理由から
証人になれないとされています。
④推定相続人、受遺者の配偶者や直系血族は証人になれない
推定相続人、受遺者の配偶者や直系血族は証人になれません。
つまり利害関係が少しでも関わってくる方は原則NGということです。
⑤公証人の配偶者、四親等内の親族、書記、使用人は証人になれない
公証人は遺言書のチェック機能を果たす役割を担っています。
そのため、公証人の配偶者や身内の方が保証人になってしまうとチェック機能が薄れてしまったり、
公平さを欠くおそれがあるため証人になることができません。
これらを踏まえ、もう一度冒頭の質問者さんの内容にあてはめて回答します。
『私には信頼できる兄がいるのですが兄に保証人を頼むことはできますか?』
ケース①質問者さんに子供・両親などの直系血族がいない場合
お兄さんが推定相続人に該当するため、お兄さんは証人となることができません。
ケース②質問者さんの子供・両親が健在の場合
子供もしくは両親が法定相続人になるため、お兄さんは証人になれます。
つまり、お兄さんは上記説明した欠格者にあたらないので証人になれるのです。
まとめ
証人については、つい家族だからなれないのではないか、とも考えがち
になるのですが、ケースバイケースで対応が変わってくるので注意が必要です。
とはいえ、今回のケースではお兄さんが証人になることができるとしても、身内の方が証人
になることはトラブルの原因になる可能性があります。
そのため当事務所では推奨はしておりません。
お役立て頂けましたら幸いです。